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ホーム > 手作り菓子入門 > 素材辞典 > 栗

素材辞典

空高く、大地の恵みが満ちわたる秋。はぜたイガから顔をのぞかせた栗の実が澄んだ陽射しに照り映える眺めは、深まりゆく季節をしみじみと実感させてくれます。秋の味覚を代表する栗は、日本人とは長いつきあい。和菓子の歴史の中では、ことのほか大切にされてきた素材です。

日本と中国、ヨーロッパ 同じ栗でも種類が違う

俳句の季語にもなり、秋の情趣を感じさせる日本の栗は、ほとんどが野性種の柴粟から改良された日本栗です。しかし、世界的に見ると、むしろヨーロッパ原産のヨーロッパ栗や、中国原産の中国栗が主流。中国栗は日本栗に比べて小粒で甘味が強く、渋皮が簡単にむけるのが特徴です。アクが強いため身を取り出すと黒くなるので、そのまま炒って食べるのに向いています。香ぱしい”天津甘栗”は、渋皮離れのよい中国栗だからこそおいい食べ方といえます。また中粒のヨーロッパ栗も渋皮が難れやすく、焼き栗はもちろん、マロングラッセなどの洋菓子に利用されます。そして、渋皮離れは悪くても、大粒で色のきれいな日本栗は、繊細さが要求される和菓子の素材にひっぱりだこ。栗羊羹や栗かのこ、栗きんとん…。特有の甘味や、ほこほこした舌ざわりが生きた栗菓子に姿をかえます。

日本人の菓子の原点 古代からの長いつきあい

栗は縄文の昔から日本人にはおなじみで、貴重な食糧としてさまざまに利用されてきました。青森の三内丸山遺跡からも形や大きさのそろった栗がたくさん出土しており、管理栽培されていたのではないかと推測されているほど。また、奈良・平安時代には菓子といえば木の実か果実のことで、栗は最高級の菓子のひとつでした。乾燥して臼でついて皮をとった搗栗(かちぐり)は保存がきくので朝廷への献上品になり、さらに、戦国時代には”勝ち”につながることから武将の戦陣の祝宴に欠かせない縁起ものとされていました。
そして、茶道が盛んになる安土桃山時代には茶会の菓子に、焼き栗や、水煮にした水栗(水清けする場合もあった)が登場します。栗菓子の歴史は一朝一夕にできたものではないようです。

栗の中の王様・丹波栗と風雅な栗の里・小布施

丹波栗とは、丹波地方(京都府・兵庫県)でとれる栗の総称で、大粒で甘みがあり色も鮮やか。産地の丹波地方では平安時代から栗を栽培し、献上品にしていたという記録がありますが、有名になったのは江戸時代のこと。丹波地方の各藩主が毎年将軍に丹波栗を献上し、賞味されて評判になったと伝えられています。また、栗の里として知られる長野県小布施町も、約六百年前に当地の領主が丹波から栗を取り寄せて植えたことに始まるとか。町内各店でさまざまな栗菓子が作られ、訪れる人を楽しませています。

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秋の味覚 栗 アラカルト  −−いよいよ新栗の季節到来

大粒で美味な代表的品種「銀寄(ぎんよせ)」

栗は北海道をのぞいてほぼ全国で栽培されており、主な産地としては茨城、愛媛、栃木、熊本、岐阜県などが挙げられます。もちろん”丹波栗”の丹波地方も産地の一つで、ここでは大粒で品質のよい銀寄が代表品種。銀寄は江戸時代からある大阪産の品種で、天明の大飢饉の時に救荒食物として売り出して大きな利益を上げたことから名づけられました。しかし、全国的には銀寄だけでなく、丹沢、筑波、石槌などの品種があり、日本栗と中国栗の種間雑種の利平も作られています。

新栗を使ってぜひ作っておきたい

新栗の出回る時期に、甘露煮を作って保存しておくと、お菓子作りに何かと便利です。汁気を切って栗鰻頭や栗蒸し羊羹を作ったり、ケーキやタルトに焼き込んだり。また、栗の皮をむくのが面倒なら、ぺ−ストにして冷凍保存しておくのもよいでしょう。この場合は、ゆで栗から中身をかき出して、水と砂糖を加えて練りながら少し煮詰めます。洋酒や香料を加えない方が応用範囲は広く、和菓子の栗あんはもちろん、生タリームなどを合わせたマロンクリームやマロンムース作りが、あっという間に出来ます。

ご飯がわりにもなった豊富な栄養

栗の主成分は炭水化物ですが、 ビタミンB1、C、カリウムが豊富で、カルシウム、カロチンなども含む消化吸取のよい食べ物です。古来から、干して保存食として用いたり、山がちの地域で米のかわりに作られたりしたのは、昔の人が栗の栄養価をよく知っていたからなのでしょう。


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