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素材辞典

葛粉

葛の花葛の花

ビードロ細工にも似た、見るからに涼やかな葛の菓子は、ひととき夏の暑さを忘れさせてくれます。葛で餡を包んだ葛まんじゅうをはじめ、葛餅、葛切、葛焼など。
今回は、暑い季節に欠かせない和菓子の素材、葛粉にスポットをあててみました。

「風邪ひきには葛湯」は古くからの先人の知恵

子どもの頃、風邪をひいた時に、葛湯を飲んだ思い出があるという方はきっと多いはず。昔から葛粉は、穀物の乏しい山村で米などの代用として作られ、災害や飢謹の時の食料に、また良質のデンプンで滋養に富むことから、病人や子どもの栄養食として重宝されてきました。漢方の「葛根湯」の主成分もこの葛の根で、葛根が持つ解熱作用を生かした風邪薬です。
古くは、万葉の歌の中にも葛を詠んだものがあり、日本人にとっては馴染み深い素材だったようです。といっても、葛が和菓子の歴史に登場するのは、鎌倉・室町時代になってから。中国に留学した禅僧が日本に点心(食事と食事の間の小食)を伝えたところ、その材料のひとつとして使われ、葛まんじゅうや葛切の原形が作られたとされています。

涼しげな意匠の夏菓子「水仙」

さて、室町時代に広まった点心ですが、葛粉を使った葛切の原形には、「水繊(すいせん)」の文字があてられていました。この「すいせん」に、やがては清楚な花の名の「水仙」の字があてられるようになります。葛切は「水仙羹」、葛まんじゅうは「水仙まんじゆう」、葛ちまきは「水仙ちまき」。語感が美しいからでしょうか、現在でもこの呼ぴ名は生きており、料亭の品書きなどで目にすることがあります。ともあれ、目にもみずみずしい「水仙」の菓子は『夏ハイカニモ涼シキヨウニ』という利休居士の茶の湯の心得にも通じ、ひとときの涼を楽しませてくれます。
ひんやり、つるりとした口当たりが暑い季節の味覚にぴたりと合って、しばし、別天地へ誘ってくれるような…。

本葛ならではの風味となめらかな口当たり

葛饅頭の写真

葛粉の精製には大変な手間がかかります。まず、粉砕した葛の根から採ったデンプンを、水にさらして沈澱させます。この生葛を漉して、さらに何度も何度も繰り返し水でさらします。こうして出来た生乾きの塊状のデンプンを小割りにしてから十分乾燥させて、はじめて混じりけのない純白の葛粉が得られるのです。なにげなく口にする葛菓子には、こんな手間がかくされており、また、古くからの由来があることを知ると、味わいがいっそう深まるようです。

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葛の風雅な味わいを生かす  涼味満点の夏の菓子 

有名な奈良の吉野葛

葛粉は、葛の根からとったデンプンで、各種デンプンのうち最も良質とされています。よい葛粉は、弾力があって口当たりがなめらかで、しかも透明に仕上がります。品質、ツヤ、風昧とも奈良県の吉野葛が有名ですが、福岡県、鹿児島県でも生産されています。ただ、葛粉は生産量が限られて高価なため、市販の葛餅や鍋物用の乾物の葛切などは、さつまいもやじゃがいも、小麦粉のデンプンを使っているものが少なくないようです。そこで、吉野葛の場合は、混じりけのない純粋なものを「本葛」と表示して、他のデンプンの葛粉とは区別しています。

関東は葛餅、関西は葛切

葛餅の写真

家庭で簡単に作る葛菓子の代表は、葛餅と葛切でしょうか。葛餅は関東、葛切は関西が有名です。 葛餅の作り方は、葛粉に水を加えて溶かしたものに片栗粉、小麦粉を加え、火にかけます。これは、次に蒸す時に葛が沈まないようにするためで、煮え立つ前に火からおろし、バットなどに薄く流し入れて蒸し器で蒸します。蒸し上がったら冷やして、食ぺやすい大きさに切り、黒蜜ときな粉をかけていただきます。


葛きりの写真

葛切の作り方は、葛粉に水を加えて溶かしたものに、砂糖や水あめを混ぜて火にかけます。そして、葛餅と同じ要領で、ただし葛餅よりさらに薄くバットに流し入れ、蒸し器で蒸します。冷ましたものを麺のように細く切って、氷を入れて冷たくし、黒蜜を添えて出来上がり。

鉄板で焼いて作る葛餅

冷たいぱかりが葛菓子ではありません。鉄板で焼いて作る葛焼という菓子もあります。水溶きした葛に、砂糖、こし餡、塩を加えて練ってから蒸し、種を作ります。その種を四角に切り、葛粉をつけて表面を焼きます。葛餅や葛切とはひと味ちがう、鄙(ひな)ぴた風情が楽しめます。


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