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お菓子の開発物語

小豆餡に込められた技と心高砂きんつば おいしさの秘密

高砂きんつば

和菓子の味の要は小豆餡にある。菓子屋にとって餡はすべての基盤、個性の出るところでもある。
百年前に生まれた高砂きんつばは、この小豆餡そのものを主役に、店の味として売り出した商品である。

小豆餡の生みの親は 肉食を禁じた禅宗!

小豆餡が生まれたのは、室町末期だという。中国に留学した禅僧が、動物の肉などを入れて作った”羊羹”や”饅頭”を日本に伝えたが、禅宗が肉食を禁じたため、やがて中身は植物性の小豆餡に変わったと伝えられている。そして江戸時代に入り、貴重品ではあるものの砂糖が入手しやすくなったおかげで小豆餡が普及し、和菓子文化は飛躍的な発展をとげる。
こうして小豆餡は和菓子の要となったが、明治時代になって生まれた高砂きんつばは、そのおいしさを追求したお菓子である。以来百年、庶民のエネルギー源としても喜ばれた昔に比べると、現在は小ぶりになり、甘さも品のよいものになっている。しかし、きんつばを通して「小豆餡の究極の食べ方」を模索し続ける姿勢とそこに注がれる愛情は、今も昔も変わることはない。

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”ほどよい”甘さの 秘密は意外に複雑

手でふたつに割ると、大粒の小豆が顔をのぞかせる。ロに含むと、みずみずしい食感に小豆の皮も違和感なく溶け込んで、たっぷりした小豆餡のおいしさを堪能させてくれる。餡を主役にした本高砂屋のきんつばを「甘さ控えめだから好き」といわれる方が多い。確かに、あと味のよい甘さは大きな特長だ。しかし、糖度を抑えているというより、小豆の風味が生きているから、甘さが先走らないのである。この風味を出すために、生産者によって厳選されて入荷してきた小豆を、さらに人の手を通して一粒一粒選りすぐることから始めている。また、同じ糖度でも、シブやアクの抜き方、炊き方、砂糖のなじませ方、餡に含まれる水分の量、塩の加減によって口に入れた時の甘味の感じが徴妙に違ってくるため、あらゆる工程に並々ならぬ努力と工夫をこらしている。そして、すべてがバランスよく調和してはじめて、甘さと旨さが渾然一体となり”ほどよい”と感じられる味をつくるのである。
人の技と心、いわば丹精の凝縮が、実はおいしさの秘密。そしてそれが、古い菓子に常に新しい生命を吹き込み、百年の寿命を授けたのだろう。人が愛情を傾けてつくったものだけが、味わう人の心に届く。きんつばを守り育ててきた姿勢は、本高砂屋の菓子づくりすべてに通じる原点である。

取材協力/(株)北條製餡所


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