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お菓子の開発物語

神戸銘物 元祖 高砂きんつば物語

ミナト神戸の息吹の中で誕生した大ヒット商品

高砂きんつば

明治30年代に神戸に誕生した「元祖高砂きんつば」は、ハイカラな街の息吹を感じさせる商品として大ヒット。人びとの暮らしの変遷とともにその味を磨き、現在も変わらぬ人気を誇っている。「本当に美味しい菓子を多くの人に」という本高砂屋の原点であるこの商品の物語をたどると、そのまま神戸の街と人の歴史に重なる…。

百年前の神戸‐‐。
アルファベットが踊り国々の色彩が交錯する神戸港。波止場は、巨大な外国船舶に通う艀船(はしけぶね)が絶え間なく発着し、荷揚げした貨物を運ぶ荷馬車や小車でごった返している。海岸沿いの居留地には、瀟洒なバルコニーの外国商館が並ぶ。中国貿易商や店舗が連なる南京町の喧騒。街中に新しい文化と時代の息吹があふれていた。

明治23年頃の元町付近 明治23年頃の元町付近

なかでも、南京町の山側の元町は特別に斬新な通りだった。オーダーメイドの紳士服、宝石、靴など、きらめくような最先端の店が軒を並べる。そんな一角に、連日行列の絶えない菓子舗があった。現在の本高砂屋の前身、開港後間もない明治10年に杉田太吉が創業した紅花堂である。今日の洋菓子製造の基礎となる瓦せんべいをはじめ和菓子全般を扱う店として成長し、明治30年頃に「高砂きんつば」を考案。これが、新しもの好きの神戸っ子の評判になった。

元祖高砂きんつばの看板 元祖高砂きんつばの看板

きんつばは、もともと京都の焼き餅から発達し、その後江戸に伝わり、丸形で刀の鍔に似ていることから名づけられたもの。太吉はこの江戸きんつばを大きく改良し、どこにもない菓子を作り上げた。皮はごく薄く、餡はたっぷり。一度に多く焼けるように角形の六方焼きにして売り出したところ、街中からやがて港で働く人々のおやつとして爆発的な人気を呼んだ。

軍から支給された材料で、戦地の人々に向けて羊羹を製造し出荷した(昭和12年頃) 軍から支給された材料で、戦地の人々に向けて羊羹を製造し出荷した
(昭和12年頃)

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変えてはならないものと変えねばならないもの

当初のきんつばの大きさは現在の約1.5倍。大粒の大納言小豆に黄双糖、さらに甘味を増すために多めの塩を使い、正真正銘の小豆餡の味わいで勝負した菓子だった。しかも、職人が一つひとつ手で焼いて、焼きたてを店頭販売する方法だから旨味が際立つ。米一升5〜6銭の時代に一個1銭で買えるたっぷりと甘くて美味しい菓子は庶民のおやつにもてはやされた。

神戸っ子に人気のあった”野球カステラ””ラグビー饅頭” 神戸っ子に人気のあった”野球カステラ””ラグビー饅頭”

そして、大正から昭和にかけては、新開地で評判の映画や芝居を見て、神戸一ハイカラな元町通を歩き、行列に並んできんつばを買う。そんな風俗が神戸っ子の間に定着。昭和5年の帝国海軍の観艦式の日には、店先に観光客も混じえて100mもの列ができ、あまりの客の多さに「20人もの職人が、焼いても焼いても間に合わなかった」というエピソードも伝えられている。

昭和49年、成長期の元町本店 昭和49年、成長期の元町本店

大ヒット商品の寿命はとかく短いものだが高砂きんつばは、その後も愛され続け、昭和60年の「1985年ユニバーシアード神戸大会」の折は、開会式にご臨席された皇太子殿下・美智子妃殿下(当時)への献上の栄に浴し、神戸銘物としての名をさらに高めている。そして、いまや百年にわたるロングセラー商品に。その秘密は、あくなき探究心を持った職人たちが時代の嗜好や二−ズに合わせて”生きた味”として育ててきたからこそ。吟味をつくした素材の味わいを最大限に生かす努力と日持ち一日の焼きたてにこだわる発売当初の姿勢はそのままに、こってりとした甘さから、白双糖に果糖を混ぜたふくよかで品のよい甘さへ。神戸の街が洗練を加えていったように、きんつばもまた味を磨いてきたのである。

昭和23年頃のクリームパピロの丸缶 昭和23年頃のクリームパピロの丸缶

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愛され、育まれた百年と次の百年を創る新たな挑戦

戦後の元町本店戦後の元町本店

阪神大震災後、住み慣れた神戸を離れた人の中に「本高砂屋のきんつばが食べられる神戸に戻りたい」という人がいるという。その人にとっては”神戸イコールきんつば”。それほどまでに愛され、神戸の歴史とともに歩んできた菓子である。

現在の元町本店現在の元町本店

本高砂屋にとっては、まさにシンボルともいえる商品。この商品の発売百年を機に”旨楽味遊”の創業の精神にいま一度立ち返り、次の百年を創りたい…」。そんな決意の中から、高砂きんつばの新しい形としての新商品も生まれている。


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