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お菓子にまつわるいい話

上生菓子と煎茶

【 X+Yのおいしい関係 その4 】

その形に、色に、味わいに、そこはかとない季節の気配をたたえる上生菓子。京に生まれ、やんごとなき人々に、そして茶人たちに愛されたその繊細な表情と甘味は、今の世も、私たちに四季の便りを運んできます。新しい年を迎え、年賀のご挨拶にみえたお客様には、年の干支因んだ上生菓子と、香り高いお煎茶。初春の寿(ことほ)ぎのひとときには、そんなおもてなしが欠かせないものです。

上生菓子 松竹梅、鶴亀といった吉祥菓子に干支に因んだお菓子

様々な外国文化の影響を受けて育まれた和菓子

正月飾り

洋菓子が人気のこの頃とはいえ、ちょっとしたお礼や贈り物、また改まった席や特別のお客様のおもてなしに、上生菓子は”欠かせない存在”。私たち日本人にとって上質の和菓子は、洋菓子にもまさる特別の品格と、相手に対する想いの深さを感じさせるものなのでしょう。ところで、日頃何気なく用いているこの和菓子という言葉、実はそれほど古い言葉ではありません。明治時代に西洋菓子が一斉に日本に上陸しはじめた時、それに相対する菓子として「邦菓子」「日本菓子」などと呼ぱれていたものが、大正時代になって和菓子という名称に変化したもの。一般に普及したのは戦後になってからのことです。しかしながら、和菓子の存在自体は、非常に古い歴史を持っています。その起源を遡れば、奈良時代。木の実や果物などを指す「果子」という言葉に端を発し、大陸から仏教文化とともに伝来した「唐菓子」の影響で、団子、揚げ菓子などが登場。さらに鎌倉時代には、禅宗の発展によって羊羹、饅頭などの「点心」が、また、室町時代にはカステラ、コンペイトウなどのポルトガル渡来の「南蛮菓子」が誕生します。そして、鎖国をむかえた江時代戸になって和菓子の技術は急速に発達。江戸や京都などの都市部や、街道町などを中心に和菓子は庶民にも深く浸透し、現在の基礎がほぼ確立されたといわれます。

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茶の湯の感性が菓子を五感で楽しむ芸術にした

はごいた

長い和菓子の歴史の中で、その発展に最も大きく貢献したのは、やはり何と言っても茶の湯=茶道でしょう。茶道における繊細な季節感や美意識へのこだわり、本質への追及が、和菓子を”五感で楽しむ芸術”へと高めたのです。茶事や茶会では、お菓子は鉢や縁高(ふちだか)、食籠(じきろう)と呼ばれる器に盛られて呈されます。そこから客が箸を使って懐紙に菓子を移し取るわけですが、その時に客は菓子の美しさを愛で、手にとり、その感触、重みを感じ取ります。そして菓子を食し、じっくりと味わい、亭主にその御名を尋ねます。和菓子の名称は、季語や短歌などに因んだものが多く、客の想像力をいっそうかきたてます。たとえぱ、初春に好まれる梅の花をモチーフにした上生菓子に「東風」(こち)という名称のものがありますが、これは「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花」という菅原道真の有名な句を題材にしています。このように、茶席における和菓子は、目で見て、触れて、香り、味わいを楽しむだけでなく、御名の韻(ひびき)に想いをはせ、その背景に漂う文化、亭主の心配りまでをも堪能するものなのです。

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正月菓子は菓子職人の腕の見せどころ

こま

和菓子は大きく3つに分類することができます。そのひとつが「生菓子」で、練り物、流し物、餅物、蒸し物など、文字どおりしっとりとした感触のある菓子のことです。また「半生菓子」は、外側が乾いており、中はしっとりとしたお菓子。パリッとした皮に、餡がたっぷり詰まった最中などはその代表です。そしてもうひとつが「干菓子」で、これは落雁、飴、煎餅などの乾き物。さらに生菓子の中でも特に練り切り、羊羹、こなし、求肥などの菓子は「上生菓子」=「上生」と呼ばれています。上生はその重厚な味わいと風味から、茶席では濃茶の菓子として用いられ、また見た目の艶やかさから、新年やおめでたい席などにもしばしば登場します。特に正月用の上生は、菓子職人の腕とセンスが問われるだけに、それぞれの菓子屋でも時間をかけ、腕によりをかけて創りあげられます。平成10年・寅年の本高砂屋正月菓子は、松竹梅、鶴亀といった吉祥菓子に、干支の寅に因んだ菓子を合わせた6種がそろいました。鮮やかな紅色、常磐(ときわ)色の練り切りやきんとんに、寅の縞柄が映える淡黄色の上南羹(じょうなんかん)。純白の雪平の鶴に、金箔を施した練り切りの亀。どれも凝った意匠と華やかな彩り、そして上生菓子ならではのしっとりとした感触と深い餡の味わいを堪能できる、寿ぎの菓子ばかりです。

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ほどよい渋みを漂わせた最も日本茶らしい日本茶

かどまつ

季節の上生菓子に、ちょっと濃い目にいれた香り高い煎茶。煎茶は、和菓子の持つ繊細な甘味を引き立ててくれる最高のパートナーです。生産される日本茶の約8割を占める煎茶は、新鮮な香りと旨みと渋み、この3つの要素をバランスよく味わうことのできる、最も日本茶らしい日本茶といえます。煎茶といえぱ、よく玉露と混同されがちですが、この2種では茶葉の栽培方法が異なります。玉露は茶葉を摘み取る約20日前から樹に覆いをかけ、日光をさえぎります。こうすることによって、茶葉に渋みが加わるのを極力抑え、マイルドな風味に仕上げるのです。これに対して煎茶は「露地もの」といって太陽の光をたっぷり浴びて育ったお茶。そのため、茶葉は鮮やかな緑色で、爽やかな香りを漂わせ、渋みも適度にあります。摘み取った煎茶の茶葉は高温で蒸し上げられ、その後しっかりと揉まれます。ここで茶葉に揉みをかけるのは、湯の中に茶葉の成分を溶け出しやすくするため。煎茶で「手揉み」が珍重されるのは、丹念に揉み上げられ、しっかりと味が抽出できるからに他なりません。また、煎茶にもいろいろな種類があります。「深蒸し茶」は、普通より長時間蒸した煎茶のことで、お茶が早く抽出できるというメリットがあります。「新茶」は、その年初めて芽を出した茶葉から作られた煎茶。味、香りとも煎茶の中では 最高級のものです。

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湯の温度次第で風味が変わる繊細さ

煎茶

煎茶はいれるお湯の温度によって風味が変わってきます。渋いお茶が好みの人は80〜90度の高温で。また、甘味を味わいたいなら50〜60度のぬるめのお湯で淹れるのがよいでしょう。特に味も香りも満点の新茶は、ぬるめのお湯でゆっくりと時間をかけて抽出したほうがおいしくいただけます。

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成人病を予防し、ダイエットにも効果的

煎茶をはじめとする日本茶は、近ごろ健康や美容にも役立つことで話題になっています。たとえば、日本茶に多く含まれるカテキンという成分は、ガンや糖尿病などの成人病予防に効果があるといわれています。さらに、このカテキンには殺菌作用もあるので、食中毒や虫歯予防にも効果的。そう考えると、食後に飲むお茶も、実は理にかなったものなんですね。そのうえ、日本茶にはビタミンCが豊富に含まれているので、お肌の細胞を活性化し美白効果も期待できます。また、カフェインやアミノ酸の影響で、スポーツ前に日本茶を飲むと脂肪がエネルギーとして燃焼されやすくなり、ダイエットにも効果的なのだとか。これだけ長所があるのなら、もう一度、日本茶の良さを見直してみてもよさそうですね。

  • 参考文献
  • 「和菓子ものがたり」中山圭子/新人物往来社
  • 「和菓子 技とこつ」堀 正幸/柴田書店
  • 「生活実用シリーズ おいしいお茶が飲みたい」NHK出版
  • 「料理と食シリーズNo,15 和菓子甘味メニュー」旭屋出版

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おいしい煎茶の入れ方

沸騰したお湯を急須に入れて温めた後、茶碗に注いで温める。器が温まったら、そのお湯は捨てる。

おいしい煎茶の入れ方(1) (1)1人分を約大さじ1杯として、茶葉を人数分急須に入れる。(5〜6人分のお茶を淹れる時は心持ち茶葉を少なめにするのがよい。)
おいしい煎茶の入れ方(2) (2)急須にお湯を注ぎ、蓋をして蒸らす。蒸らし時間は上級煎茶なら2〜3分。「深蒸し」や並煎茶なら1〜2分が目安。
おいしい煎茶の入れ方(3) (3) 茶碗に少し注いで色を確かめてから、それぞれの茶碗に少しずつ回しながら注いでいく。
おいしい煎茶の入れ方(4) (4)最後の一滴まで残さず注ぎきること。

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