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お菓子にまつわるいい話

焼き菓子と紅茶

【 X+Yのおいしい関係 その3 】

焼き菓子

サクッとした歯触り、香ばしいバターの風味。素朴でシンプルな味わいの焼き菓子は、香り高い紅茶とともにいただきたいもの。時は今、焼き菓子と紅茶のおいしい季節、秋。今回は、個性とりどりの焼き菓子たちが織り成す、知られざる逸話について。また、ヨーロッパで熟成された、深く、豊かな紅茶文化の世界について綴ってみたいと思います。
バターをたっぷり使ったクグロフ(写真:左奥)はマリー・アントワネットの時代から帽子をふせたような形をしています。手前はおなじみのマドレーヌ(写真:右)とマルグリット(写真:左)。このマルグリットは表面にマロンクリームを塗って円形の型で焼き上げています。いずれも歴史のある代表的な焼き菓子です。(「高杉」御影テラスにて撮影)

焼き菓子姉妹物語

焼き菓子の元祖はドイツのレープクーヘン

焼き菓子といってまず思い浮かぶのが、クッキーとビスケット。これらは、ドイツ生まれのレープクーへンというお菓子がそのルーツと言われています。レープクーヘンは、はちみつと小麦粉、ライ麦粉をこねたものに、シナモンやクローブなどのスパイスを利かせた素朴な焼き菓子。その名前は「生命の菓子」を意味し、昔は滋養の高い食べ物として保存食や非常食に用いられていました。有名な童話、「へンゼルとグレーテル」の中に登場するお菓子の家は、このレープクーヘンでできていたと言われます。今でもドイツやスイスではクリスマスの季節になると、レープクーへンで作った「へキセンハウス(魔女の家)」がお菓子屋さんのショーウィンドーを賑やかに飾ります。

アメリカのクッキーとイギリスのビスケット

さて、私たちは普段、何気なくこのクッキーとビスケットという言葉を使っていますが、この二つの違いはいったいどこにあるのでしょうか?クッキーは「小さなお菓子」という意味のオランダ語「クーク」がその語源だと言われています。またビスケットは、「2度焼く」という意味の英語が語源で、イギリスのビスキー港で働く水夫たちの手軽な保存食として生まれたものだそうです。 しかし、本質的にはクッキーとビスケットには特にこれといって大きな違いはありません。強いていえぱ、ビスケットは小麦粉が多く、バターが少なめのもの。クッキーは小麦粉の量に対して、比較的バターがたっぷりと含まれているものと考えられています。また、全く同じ材料で焼き上げたとしても、習慣的にアメリカではクッキー、イギリスではビスケットという名で呼ぱれることが多いようです。

王侯貴族の秘蔵レシピ マドレーヌとマルグリット

もう一つ、私たちになじみの深い焼き菓子に、バターケーキがあります。ふんわりとクリーム状にホイップしたバターに小麦粉、砂糖、卵を加えて焼き上げたものを総称してバターケーキというのですが、焼き型や中に入れるプラスアルファの材料の違いによって、さまざまな種類があります。まず、有名なところでは小さな貝殻の型に入れて焼くマドレーヌがあげられます。このお菓子は他のどのバターケーキとも異なり、ホイップバターではなく溶かしバターを使うのが特徴です。そのレシピは長らくフランス・ルイ王朝の秘蔵とされていたのですが、後にコンメルシー地方の菓子屋が高額でそのレシピを買収。「コンメルシーのマドレーヌ」として発売し、世界的に有名なりました。一方、マーガレットのような美しい花型に入れて焼かれるものはマルグリットと呼ばれ、アーモンドパウダーの入ったリッチな風味が特徴です。中世イタリアのトスカーナ国王がこの焼き葉子をたいそう気に入り「王様のケーキ」という称号を授与。王宮一の美女マルゲリータ姫にちなんでその名前を付けたのだといわれています。

ヘキセンハウス(魔女の家) レープクーヘンで作った「ヘキセンハウス(魔女の家)」
ヘンゼルとグレーテルの童話を彷彿とさせます。

マリー・アントワネットと二つの姉妹菓子

焼き菓子

一方、フランス皇帝ルイ16世の妃マリー・アントワネットは、クグロフというイーストの入った焼き菓子をこよなく愛したと伝えられています。クグロフとは”僧侶の帽子”という意味。その名のとおり、大型の帽子をふせたような形で、ソフトクリームのようにねじれたひだの入ったクラシックな焼き型を使って焼いた素朴な味わいのお菓子です。ケーキ作りの好きな方には、「クグロフ型」としておなじみでしょう。このクグロフは、18世紀に書かれたフランスの美食事典に「彼(か)のマリー・アントワネットが愛する菓子」として紹介され、たちまちヨーロッパ一円で大流行となった歴史を持つお菓子。フランスのアルザス地方で盛んに作られていたことから、別名「アルザス菓子」とも呼ばれています。しかし、一口にクグロフといっても、その作り方には地方によって様々な個性があります。マリー・アントワネットが好んで口にしたのは、イースト生地で作ったいわゆるアルザス風の軽いタイプ。また、彼女の故国オーストリアでは、同じ型は使ってもこれとは対照的にしっとりとして重い、バターケーキ風の生地を使うのが特徴。名前もオーストリア語で「グーゲルフプフ」と呼ばれています。マリー・アントワネットは、異国の地べルサイユ宮殿で、クグロフを通して遠い故国を偲んでいたのかも知れません。

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紅茶から始まる物語

大航海時代、中国からヨーロッパに渡った紅茶

紅茶

航海時代、中国からヨーロッパに渡った紅茶焼き菓子の豊かなバターの風味や素朴な口当たりを引き立ててくれる紅茶。今では世界中で愛されているこの飲み物は、いったいどんな歴史をたどって私たちのもとに届けられたのでしょうか。紅茶は、緑茶やウーロン茶などと同じ茶の木から採れる葉を加工して作られており、中国が原産と言われています。この3種のお茶の違いを簡単にいうと、紅茶は茶葉をじっくり発酵させたもの。ウーロン茶は半発酵させたもの。そして緑茶は全く発酵させていないものです。同じ茶葉でも、こうした製法の違いがその味や色、香りの違いとなって現れるのです。原産国である中国では、今から四千年以上も前からお茶が飲まれており、紅茶の原形ともいえる発酵茶は10〜13世紀の間に登場したと言われています。それが初めてヨーロッパに伝わったのは、17世紀初頭のこと。オランダの東インド会社が中国より輸入を開始し、ヨーロッパ各国の上流階級へと広く普及していきました。

ティーガーデンが育んだイギリスの紅茶文化

「紅茶の国」として名高いイギリスでは、18世紀の初頭にはすでに上流階級の人々に広く紅茶が親しまれるようになっていました。ロンドン郊外には、ティーガーデンと呼ぱれる施設が続々とオープン。美しい庭園で音楽の演奏を楽しみながら、優雅にお茶を楽しむ男女で賑わいを見せていました。しかし、酒類を置かないティーガーデンは次第に男性客の人気を喪失。それに加えて家庭でのアフタヌーンティーの習慣が一般化しはじめたために19世紀半ばにはティーガーデンは姿を消してしまいます。また、そうした事実の裏側には、19世紀に、イギリスの冒険家ブルースが、インドで茶の木を発見したことが大きな影響を与えています。それまでは、イギリスの紅茶といえばすべてオランダからの輸入品で、非常に高価なものでした。それが、自国の植民地で紅茶を安価で生産できるようになったため、一般の人々にも手が届くようになったのです。そのため、贅沢な雰囲気を味わうティーガーデンよりも、自宅で楽しむアフタヌーンティーが主流となっていきました。

今も受け継がれる伝統的な七つのティータイム

イギリス人の紅茶好きは世界的に知られるところ。何しろ、七種類以上ものティータイムがあるのですから!。ここで、その伝統的な七つのティータイムのスタイルについてご紹介しましょう。

アーリ‐テイー

朝の目覚めにベッドの中で楽しむ紅茶。映画などでも、執事がご主人のベッドに紅茶を運ぶシーンがよく見られますね。

ブレック ファーストティー

朝食の時に飲む紅茶。カップは大きめのものを用います。

モーニングティー

朝の仕事が一段落した午前11時ごろに飲む紅茶。「イレブンシス」とも言われます。

ミッディティー

午後3時ごろ、家庭で気軽に楽しむもの。いわゆるおやつの時間。「ティーブレイク」とも言います。

アフタヌーンティー

休日に女主人が催す午後のお茶会のこと。女性たちの社交が目的のティーパーティ−で、19世紀の中頃より始まった習慣です。午後3〜4時ごろから始まり、サンドイッチ、スコーン、ケーキなどが用意されます。もともとは軽い食事を意味したことから、「ローティー」ともいわれます。

ハイティー

夕食とともに楽しむ紅茶のこと。イギリスの農村部や工業地帯、スコットランドに伝わる習慣で、仕事を終えた後、午後6時ごろに家庭で楽しむものです。タ食のメニューは肉類が中心となるため、「ミートティー」とも呼ぱれています。また、パーティーとしてのハイティーは、大勢のお客を招いたレセプション風の正式なお茶会となります。

アフターディナーティー

夕食を終えた後、ベッドに入るまでの間に飲むくつろぎの紅茶のこと。

ティーカップ

また、この他にも「クリームティー」と呼ぱれるお決まりのスタイルがあります。これは、スコーンにたっぷりのクロテッドクリームとジャムを添え、熱いミルクティーとともにいただくもの。軽いティーブレイクの定番メニューとして現在も広く親しまれています。

初期のティーカップには、把手がなかった

一方、こうした紅茶文化の広がりにともなって、ティータイムに欠かせない陶磁器の文化も大きな発展を遂げました。中国からお茶が輸入されはじめた当初は、ティーカップやポットも中国製のものをそのまま用いていたので、カップには把手がなく、サイズも一口で飲み切れるほどの小さなもの。受け皿もありませんでした。それが、時代とともに紅茶の価格が下がり、ヨーロッパでの紅茶の消費量が急増するにつれて、ティーカップのサイズやスタイルも大きく変化。18世紀の終わりごろには、ほとんどのカップに把手や受け皿がつけられるようになりました。

  • 参考文献
  • 「お菓子の手作り事典」今田美奈子著(講談社)
  • 「KOBE洋菓子物語」村上和子著(神戸新聞総合出版センター)
  • 「オーボンヴュータン河田勝彦フランス伝統菓子」(暮しの設計)
  • 「紅茶」田中蓉子〔日本紅茶協会協力〕(西東社)
  • 「紅茶の事典」成美堂出版編集部著(成美堂出版)

世界の紅茶銘柄6選

アッサム

最も理想的な紅茶産地といわれるインド北部アッサム地方産。マイルドながらも強い味と芳醇な香りを持つ。濃厚で飲み応えがあり、ミルクとの相性がいい。

ダージリン

インド北部ダージリン産。マスカットフレーバーと称されるさわやかな芳香が特徴。4〜5月に採取される極上品はきわめて高価。ストレートティーに適する。

キーマン

世界最古の紅茶産地として知られる中国のキーマン産。蘭の花を思わせる香りと独特のスモーキーフレーバーは、「中国茶のブルゴーニュ酒」と称されている。

ウヴァ

スリランカ南東部産。独特の強い香りと芳醇な味、美しい色が特徴で、ダージリン、キーマンとともに世界三大銘茶といわれている。

キャンディ

スリランカ中央部産。鮮やかな色とコクのある味が特徴。スリランカでは最もポピュラーな紅茶。タンニンが少ないのでアイスティーに向いている。

ヌワラエリア

スリランカ中央部産。すがすがしい香りが特徴。色も明るく、しっかりした味。ストレートティーでじっくりと香りを楽しみたい。


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