• オンラインショップ
  • 商品紹介
  • 店舗一覧
  • 資料室
  • 談話室

ホーム > 資料室 > お菓子にまつわるいい話 > 涼菓と冷茶

お菓子にまつわるいい話

涼菓と冷茶

【 X+Yのおいしい関係 その2 】

太陽が照りつけ、暑さも厳しい真夏の昼下がりには、きりりと冷えた一服の茶と、口中で泡雪のように溶ける、目にも涼しげな菓子の冷たさが体に、心に、心地よく染み渡ります。今回は、ヨーロッパで、日本で、そして世界で愛されている涼菓と冷茶のおいしい関係についてのお話です。

パスパーラ 果実のみずみずしさそのままのゼリー「パスパーラ」

華麗な貴族文化の香り グラスとアイスティー

デザートにアルプスの雪を所望した暴君ネロ

かつて、マケドニアの勇者アレキサンダー大王は、アジア遠征の折に食べ物や飲み物を氷室で冷やして英気を養い、ソロモン王は果実のジュースに雪や氷を入れて楽しんだのだとか今でこそ私たちは一年中、冷たい飲み物やデザートを口にすることができますが、それはほんの100年ほど前からのお話。それまでの長い歴史の中で、ひんやりと冷たい食べ物や飲み物を口にできたのは、ほんの一握りの王侯貴族だけだったのです。有名なところでは、紀元1世紀頃のローマ皇帝・ネロの逸話があります。暴君として有名だったネロは、「アルプスの雪が食べたい」といっては家臣たちをローマから遠く離れたアルプスまで遣わし、命懸けで持ち帰った氷や雪に果実や果汁、ミルク、はちみつなどを加えて食したのだそうです。それが、今のイタリアン・ジェラートの、ひいてはアイスクリーム類そのものの起源だともいわれています。

イタリアからフランスへ 冷たいデザートもお嫁入り

紅茶

時は流れて、16世紀。イタリア北部のフローレンスより、メディチ家のカトリーヌ妃が、時のフランス国王アンリ二世のもとへと嫁いだ際、冷たいデザートもフランスへと渡ります。彼女が伴った氷菓子職人ゲラティエレが、グラスと呼ばれる氷菓の技術をフランス宮廷に伝えたのです。ソルベやジェラートなど、今だかつて目にしたこともない、美しく、冷たいデザートの数々は、貴族たちをたちまち虜にしました。以来、フランスでもこうした氷菓子は正式の晩餐においてもアントルメ(食事の中間の小休止。軽い甘味が呈される)やデセール(デザート)として頻繁に登場しはじめます。さらに、17世紀にはゼラチンを使って”冷やして固める”という技法もそれに加わり、ジュレ、ババロア、ブラマンジェなどが誕生。冷たいデザートの系譜は、ますます華やかに広がっていったのです。

マハラジャたちの愛した豪華なティーパンチ

冷たいデザートがそうであったように、冷たい飲み物にもまた、優雅な逸話がたくさんあります。時は天下太平の16世紀。インド・ガンジス川流域で権力をふるったマハラジャたちの間に流行した飲み物が、今もパーティーなどでよく目にするティーパンチなのです。パンチの語源はヒンズー語のパンシュ、サンスクリット語のパンチャからきており、いずれも「5」を意味する言葉。つまり、ティーパンチは、5種類のフルーツ(オレンジ、レモン、バナナ、ぶどう、りんご)が入った紅茶という意味なのです。また、マハラジャたちはこれ以外にも、各種のスピリッツやワイン、砂糖をパンチに入れ、その芳しい香りとフルーツの豊潤な甘さに満ちたカクテルを楽しんだといわれています。

このページの先頭へ

和の涼やかさを彩る 寒天・葛菓子と氷茶

夏菓子の陰の主役・寒天はところてんから生まれた

水羊羹、錦玉羹、みつ豆、こうした夏の和菓子の多くは、その材料に寒天が使われています。つまり、寒天は夏の和菓子作りには欠かせない、陰の主役とも言える存在なのです。その寒天が誕生したのは、江戸時代のこと。京都・山城国のとある宿屋の主人が、忙しさにかまけて夕食のところてん料理の残りを冬の屋外に置いたままにしていました。何日かたって主人がそれに気付いた時には、ところてんはカラカラに干からびた状態に。放置されたところてんは、夜の寒気と昼間の日差しで凍結と解凍を繰り返した結果、水分だけが蒸発してしまったのでしょう。後にこの”乾燥ところてん”に寒天という名をつけたのは、禅宗の僧侶・隠元。”寒ざらしのところてん”を略して寒天と名付け、『仏家の食用として清浄これにまさるものなし』と、好んで清進料理に用いたと伝えられています。

水羊羹 ひんやりと涼しげな水羊羹

水仙にたとえられる葛菓子の美しさ

また、夏菓子の素材としてもうひとつ忘れてならないのが、葛です。古来より、日本では葛は滋養食として用いられてきたもので、病人食や、災害時の非常食としての用途がほとんどでした。それが鎌倉〜室町時代になり、中国に留学した禅僧が羊羹や饅頭などの点心を持ち帰ったことによって、菓子の素材に葛が使われるようになったのだそうです。まろやかなこし餡を葛生地で包んだ葛饅頭、天女の羽衣のように薄く固めて細く切った葛を氷に浮かベ、黒みつでいただく葛切り。これらの葛菓子は、その水のように澄んだ涼しげな様から、中国の故事にある水中の仙人の名を頂戴し、「水仙饅頭」「水仙羹」などという名でも呼ぱれています。今でも、和菓子の名で「水仙」がつくものには、必ずといっていいほど、葛が使われています。

かき氷も、平安の昔には「あてなるもの」だった

これら寒天、葛などを用いた夏菓子は、まだ冷蔵庫で手軽に冷たいものを作ることのできなかった時代、人々の目と舌に涼を与えてくれる、数少ない食べ物のひとつだったのでしょう。事実、冷蔵庫が登場するまでは、夏に氷を手に入れることさえ、たいへん困難なことだったのです。その昔、宮中では毎年、真冬に取った氷を山陰の氷室に貯蔵しておき、6月1日に「氷の節会」を開いて、その涼やかな風情を楽しんだといわれています。「あてなるもの(上品なの)、削氷(けずりひ)に甘葛いれて、あたらしき金鋺(かなまり)にいれたる」と、枕草子にも綴られているように、今では庶民の食べ物となったかき氷も、昔は高貴な人々だけが楽しむ賛沢品だったのです。

露氷 冷凍庫で凍らせていただく和風シャーベット「露氷」

風味豊かな玉露を氷茶で嗜む

和菓子といえぱ、お茶がつきもの。そして夏にいただく冷たいお茶といえば、麦茶がまず頭に浮かぴます。しかし、お客様が来られた時や、とびきりおいしいお菓子が手に入った時、ちょっと贅沢気分で冷たい玉露茶を楽しんでみるのも乙なものです。玉露は基本的に熱い湯を好みませんから、まさに冷茶にはうってつけの茶葉。その極上の香りと、まろやかな味わいを逃さず抽出する「氷茶」という方法を用いて淹れます。まず、涼しげなガラスの急須に、玉露をティースプーン3杯入れます。その上から氷を急須いっぱいに入れ、後は急須の中の氷が溶けるまで、ゆっくりとおしゃべりでもしながら待ちましょう。すべての氷が溶けるころには、香り高く、キーンと冷えわたった玉露茶を楽しむことができます。

このページの先頭へ

クリームダウンの魔法を解く鍵は?

アイスティー

グラスに氷をいっばいに入れ、上から熱い紅茶を注ぐ。氷がパチパチと割れ、この20世紀に世界中で愛されている冷たい飲み物・ルビー色のアイスティーができ上がります。しかし、多くの場合そのアイスティーは透き通らず、白く濁ってしまいます。なぜでしょう?この現象はクリームダウンと呼ばれ、急激に冷やすことによって、紅茶に含まれるタンニンという成分が結晶するために起こります。結晶を作らないためには、まずタンニンの少ない紅茶葉を選ぶこと。スリランカ産のキャンディ、ディンブラなどがふさわしいでしょう。入れ方は下の手順に添って、最後は氷をいっぱいに満たしたグラスに、一気に紅茶を注ぎ入れてフィニッシュします。ここで、ゆっくり入れるとクリームダウンの元になりますから、注意してくださいね。”フィニッシユは素早く”が合い言葉です。

アイスティーの入れ方(1) (1)人数分より1杯多い茶葉を入れる。
アイスティーの入れ方(2) (2)通常の1/2の量の熱湯を注ぎます。
アイスティーの入れ方(3) (3)茶葉が開いたら、今度は別のポットに紅茶を濾して入れ、粗熱を取ります。
アイスティーの入れ方(4) (4)氷をいっぱい入れたグラスに一気に紅茶を注ぎ入れてフィニッシュ。

このページの先頭へ