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お菓子にまつわるいい話

長命を祝う

【 記念日のお菓子 その3 】

過去のどんな偉大な英雄でさえもかなえられなかった願望であり、また人類永遠のテーマである「長命」。今回は、健やかに、そして幸福に齢を重ねるために人々が捧げてきた悠久の祈りを、そして長い人生の道のりを経てきた祝賀の宴を、それらを彩る鮮やかな菓子たちとともに、ゆっくりと繙(ひもと)いていきたいと思います。

長命(ちょうめい)

生まれてから命を終えるまでの期間が長いこと。俗に言う「長生き」はこれに相当する。

長寿(ちょうじゅ)

平均寿命を超えてなお、長く生き続けること。(三省堂国語事典より)

1200年以上の歴史を持つ「賀の祝い」

9月15日が「敬老の日」に制定されたのは、今から30年ほど前のことです。それまでは昭和26年頃から「お年寄りの日」と称して各地で様々な行事が行われていたのを、昭和41年に正式に国民の祝日として採用することになったのです。”お年寄りを敬うべし”という儒教的な思想が古来よりあった日本において、この日に長寿を祝う習慣が生まれたのは、実は意外なほどに”最近”のことなのです。一方、今でも私たちになじみ深い還暦、古希、米寿など、長寿を称えるだめの「賀の祝い」は、天平時代からの長い歴史を持つものです。740年に宮中で聖武天皇の生誕40年を祝したことがその始まりだといわれますから、かれこれ1200年以上に渡って延々と受け継がれているということになります。

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江戸時代に流行した”還暦3点セット”

こうしたいわゆる「賀の祝い」は、もともと中国にそのルーツがあるといわれています。日本にこの習憤が入ってきた当初は中国のしきたりに習って40歳から10年ごとに祝うのが通例でしたが、江戸時代に入って現在とほぼ同様のスタイルになり、一般庶民にまで広く浸透したようです。そうした背景には、江戸時代になって生まれ年の干支や暦などが一般庶民に大流行したことが影響していると考えられます。殊に、数えの61歳である還暦は、十二支と十干が一巡して生まれ年の干支に再び還るということで、盛大な祝宴が催されたのだとか。また、新しい暦が始まる還暦には”生まれ変わる”という意味もあるので、赤子を象徴する赤い頭巾、座布団、ちゃんちゃんの”還暦3点セット”が贈られるようになったのも、同じくこの頃なのだそうです。

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菊の花に長寿を願う「重陽の節句」

今では知る人ぞ知る節句となってしまいましたが、9月9日の「重陽の節句」には、長寿を祈願する五節句のひとつとして、江戸時代までは華やかな行事が行われていました。この日は陽の数(奇数)の極みである9が重なるたいへんおめでたい日として、長寿を保つために菊の花を浮かべた「菊酒」を賞味し、美しく咲く菊の花を愛でる優美な一時をすごしたそうです。菊は別名「千代見草」(ちよみぐさ)、「齢草」(よわいぐさ)などと呼ばれる縁起の良い花で、酒に浮かべて飲めば『老いを流して若返る』といわれ、珍重されました。また、夜の間に菊に綿をかぶせて花の香りと露を吸い取り、その綿で身体を清める「着綿」(きせわた)という行事も、肌が美しく若返るということで女牲たちがたいそう熱心に行 ったのだとか。新暦になった今ではこの節句も廃れてしまいましたが、和菓子の世界では毎年9月になると重陽を連想させる菓子が現在でもよく作られます。その多くは菊の花を象(かたど)ったものですが、重陽に栗ご飯や蒸し栗を食べる習慣があったので、栗の形をしたものも珍しくありません。他にも、菊の花に真っ白な生地やそぼろがかけられた「着綿」をモチーフにした菓子もあり、その意匠を知ったうえで菓子を楽しむのもまた一興だと言えましよう。

重陽 鶴亀、老松。長寿の願いを託したおめでたい縁起物。

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仲秋の月餅は老人孝行の証し

中国から伝わった「仲秋」の行事は、日本ではもっぱら風流なお月見の宴として知られています。しかし、本場、中国では名月を観賞する日であるとともに、年に一度の老人孝行の日でもあるのです。旧暦8月15日の「仲秋節」が近づいてくると、人々は菓子店で「仲秋月餅」をたくさん員い求めます。そしてその月餅を親戚や近所の老人に配り、お年寄りへの尊敬を表します。この月餅は「行孝月餅」と呼ばれ、中国では老人孝行の証とされているのです。仲秋節当日には、各家庭の中庭に祭壇が設けられ、月餅、葡萄、なし、りんごなどが供えられます。夜になり、いよいよ満月ののぼる時刻になると祭壇に家族が集まり、線香や紙銭を焚いて月に祈りをささげます。そしてひととおりの儀式が済んだその後は、老人を中心に家族で食車を囲み、供物や水餃子を食べる「宴」がにぎやかに行われるのです。

月見団子 月見団子

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”縁起物”のルーツは中国の神仙思想にあり

また他にも中国には、老人の誕生祝いに長寿を象徴する桃の形のケーキや蒸しパンを贈ったり、”長生き”ヘの願いを込めて麺類を食べたりする習慣があります。このように、日本や中国には古くから長寿のシンボルと言われるものが他にもたくさんあります。鶴、亀、松など。こうした縁起物のほとんどは、不老不死の理想を説いた、古代中国の神仙思想がわが国に伝わって一般化したものであると言われています。ではここで、そうした縁起物が持つ、それぞれのユニークな逸話を簡単にご紹介しておくことにしましょう。

鶴亀

鶴亀

鶴は千年、亀は万年生きるという神仙思想に由来しています。鶴や亀甲の文様は日本でも吉祥文様として、現在でも水引きや風呂敷、漆器、着物地等に多用されています。

老松

老松

秦の始皇帝が、仙人の言により松の木に太夫の位を贈ったという中国の故事に由来。日本の俗信では神の降りる木、天狗の宿る木とされていたるめ、伐ることはならぬと言われています。

桃

悪霊を退治し、邪気を払う実。また一つ食べると千年長生きするともいわれています。孫悟空は桃を3つも食べたため不死身となり、三蔵法師のお供をすることになったのだとか。

無実の罪で僻地に流された男が、菊の露だけを飲んで800年生き延びた後、魏の皇帝に重用されたという中国の故事に由来。「重陽の菊」もこの逸話が元になっています。

海老

神仙思想には登場しない、日本独自の長寿のシンボル。ひげが長く、腰が曲がっているその姿に由来していると言われます。”海老”という漢字も日本人の作ったあて字なのだとか。

初物

これも日本独自の諺で、「初物を食べると75日寿命が延びる」といわれています。初物は新鮮で栄養価も高いということの例えとして用いられたのでしょう。

賀の祝いとそのいわれ

還暦 61歳

別名「本掛還り」「華甲」「華甲子」などともいわれます。還暦祝いに用いられる赤い色は、生命を象徴する太陽の色であり、また魔除け、厄除けのいろであるとも言われています。

古希 70歳

中国の詩人・杜甫の「人生七十古来稀なり」という言葉に由来。平均寿命も伸びた現在ではようやく老人といった感覚もあり、古希を最初の長寿祝いにする場合もおおいようです。

喜寿 77歳

「喜」という字の草書体が、七十七に通ずるところから「喜の字の祝い」とも言われ、一般的には扇子に「喜」の字を書いて送る習慣があります。

傘寿 80歳

「傘」の字を略したものが、八十と読めることに由来しています。最近では、喜寿、米寿に次いで盛んにお祝いされるようになっており、金茶の衣服や小物などを贈ります。

米寿 88歳

「米」の字をばらばらに分解すると八十八になることからつけられた呼び名。別名「米の祝い」とも呼ばれます。祝いの品として、金・銀の杯を贈る習わしもあるようです。

卒寿 90歳

「卒」の字は略して書くと「卆」となり、さらにそれを二つに分けると「九十」となることから。別名「鳩寿」とも呼ばれるため、それにちなんで鳩の飾りのついた杖を贈ります。

白寿 99歳

百の字から一を取ると「白」になることから、「百引く一は九十九」という意味でつけられました。それにちなんで、最も清らかな色とされる、白い衣類などを贈ります。

百賀 百歳

100歳は”百賀の祝い”、101歳が”百一賀の祝い”といい、100歳以上の長寿祝いは毎年行います。ちなみに110歳以上の祝いは”皇寿の祝い”または”珍寿の祝い”といいます。

表示している年齢は数えの年齢です。


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