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お菓子にまつわるいい話

誕生を祝う

【 記念日のお菓子 その2 】

この地上に生まれた小さな命は、神様からの限りなく尊い贈り物。この世に生を享(う)けた喜びを分かち合い、その人生に幸多からんことを祈りつつ人々は誕生を祝します。今回は、誕生の源ともいえる豊饒の海と私たち人間の深いかかわりについて、そしてさらに世界各地のきまざまな誕生日を祝うセレモニーや、それを彩るお菓子についてお話ししましよう。

すべての生命のゆりかごとなる、海

今から三十億年も前のこと、「生命の母体」である海の中に、バクテリアやアメーバなどの原始的な生物たちが誕生しました。この地球上で初めての生命体は、海という栄養満点のスープの中で温められ、育まれ、数億年の間により高等な生物へと進化していきました。そして現在、その進化の末裔である私たち人間の体にも、母体の名残り、すなわち海に由来する多くの特性を見ることができます。まず、私たちの体を流れる血液中の成分は、海水のそれと多くの共通性があるということ。さらに、人体の約75%は水分であり、これは地球の表面積の3分の2が海であるのとほぼ一致するかのような数字です。また、胎児が羊水の中で成長してゆくことも、生命を育む海と生物の関係に等しいといえるでしょう。

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海と月が奏でる、神秘の生命伝説

潮の満ち干は月と太陽の引力の作用によって起こるといわれますが、この潮の満ち干に、人の誕生と死が関わっているという説を昔からよく耳にします。また、世界中のあらゆる国に海に関する多くの伝説や神話が残されていることからも、はるか古代より、人々は海を含めた自然と生命との深い関係を知っていたと考えられます。そうした海にまつわる逸話の中で最も有名なのが、あのボッティチェルリの絵画でも知られる「ヴィーナスの誕生」です。ギリシャ神話では、ウラノスというオリンポスの神が闘いに敗れて海に投げこまれ、その屍が溶けて泡となり、そこから生まれたのが愛と美の女神ヴィーナスであると語られています。彼女のギリシャ名=アフロディテが「泡から生まれた」という意味なのもうなずけます。この恐ろしくも美しい神話は、海という媒介を通して、生命が輪廻転生を繰り返しているということを告げているに他なりません。

カシパンという名のウニ類 カシパンという名のウニ類(撮影:中村征夫)

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母なる海を守るために… 「海の日」が国民の休日に

以前は”海の記念日”と呼ばれていた7月20日が、今年から新たに「海の日」という国民の休日になりました。この日はもともと。1876年に明治天皇が東北を巡幸された帰路に、明治丸で海路横浜に帰港されたことを記念したものでした。海に囲まれた島国に住む私たち日本人が、さまざまな恵みを与えてくれる海を大切にし、後生にその美しさを伝えていくようにと、国民の休日に制定されたのです。私たち日本人にも、ようやく今になって母なる海、そして母なる自然を大切に思う、心のゆとりが生まれてきたといえるようです。

「海の記念日」をイメージした創作和菓子 「海の記念日」をイメージした創作和菓子
  • 参考文献
  • ギリシャ神話小辞典/教養文庫
  • 「おいしい水」健康法/PHP研究所

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赤ちゃんの誕生を祝う

まだ見ぬ赤ちゃんへの贈り物「ベビーシャワー」

日本では赤ちゃんへの贈り物は、出産後にするのが普通です。しかし、欧米では反対に出産予定日前のお母さんを囲んで、友人たちがプレゼントを持ちよるパーティーを開きます。この習慣は「ベビーシャワー」とよばれ、当日は家中がクマ、コウノトリ、ウサギなどのかわいらしい赤ちゃん用のデコレーションで飾られ”Welcome!”(ようこそ!)のサインを掲げて、新しい家族になる予定の赤ちゃんを祝します。そして玄関脇には風船をいっぱいにあしらったベビーベッドが置かれ、パーティーに招かれた友人たちは、めいめいに持ってきたプレゼントを入れていきます。プレゼントは、衣類なら生まれてくる赤ちゃんが男の子でも女の子でもいいように、淡い色合いのものを選びます。他にも毛布とシーツのセット、哺乳びん、おもちゃ、ビブ(よだれかけ)などの贈り物が一般的です。パーティーはまず軽食とお菓子を楽しんだ後、子供たちがいれば、大人もいっしょになって簡単なゲームなどをして遊んだりします。そしてハイライトは、何といってもベビーベッドいっぱいのプレゼントの包みをみんなの前で披露すること。一つ一つの包みを開けるたびにみんなの歓声が上がり、妊婦さんの顔にもほほえみがこぼれます。こうして大勢の人々に祝福されることで、きっと誕生を待つ喜びも倍になるのでしょう。日本だと、こうしたお祝いをいただいた場合、必ず内祝いでお祝い返しをするものですが、欧米の場合は”みんなお互いさま”という考え方をするので、そうした習慣はありません。ただし、心から感謝をこめて、お礼の言葉をしたためた「サンキュー・カード」を後日に送るのが礼儀とされています。

誕生を祝福するお菓子「シャワーケーキ」と「ドラジェ」

上:ベビーシャワー、下:ドラジェ

「ベビーシャワー」の主役はプレゼントですが、もうひとつ大切な脇役がケーキです。ベビーシャワーの日には”おめでとう、早く元気に生まれてきてね!”と書かれ、コウノトリなどをあしらったカラフルなケーキが用意されます。このケーキのデザインは、まさにケーキ屋さんの腕の見せ所。お客さまの注文にどれだけ応じられるかで、その評判はたちまち主婦の間に広がってしまいます。気に入ったデザインのケーキを作ってもらうため、わざわざ遠くにある評判のケーキ屋さんまで注文しに行く人も少なくないようです。
また「ベビーシャワー」にはお返しがないといいましたが、その代わりに小さなお土産を用意します。チュールレースに包んだ淡いパステルカラーのドラジェか、ベビーシューズの形の入れ物にポプリを詰めだものなどが一般的です。

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年に一度の誕生日を祝う

お国が違えば、誕生日もこんなに違う

クッキー

古来、日本では一般の人が誕生日を祝うのは、満一才の時に限られていました。現在のように毎年の誕生日を祝い、プレゼントを贈る習慣は、明治以降に外国から入ってきたもの。とりわけ、戦後はアメリカからの影響でここまで一般的になったといわれています。しかし、誕生日の考え方はお国柄によってずいぶん違うようです。たとえぱアメリカインディアンやアフリカの一部の原住民は、『時間は数字で計れるものではない』という考えから誕生日を祝ったり、年齢を数えたりしないそうです。また、それとは逆に西アフリカ、ビルマ、古代のシリアなどでは週ごと、または月ごとに誕生日を祝う習慣があったのだとか。この習慣だと、毎日誰かの誕生日がありそうですね。ちょっと忙しいかも知れません。さらに殉職したキリスト教の聖人たちは、永遠の命への復活の意味をこめて、亡くなったその日を誕生日としています。みなさんがよくご存じの聖バレンタインも、2月14日が”第2の”誕生日なのです。

バースデーケーキのろうそくは年齢より一本多い方がいい

クッキー

「ハッピーバースデートゥーユー」の歌とともに、戦後アメリカからわが国に入ってきたのが”ろうそくを吹き消す”あの儀式。このスタイルは、今世紀になってからアメリカで誕生した、新しい習慣だといわれています。
アメリカには他にも面白い誕生日の習慣があり、そのひとつが「サプライズ・パーティー」。これは、友人たちが内緒でこっそりパーティーを企画するというもの。誕生日当日は、何か他の口実でパーティー会場へとその人を誘い出します。扉を開けたとたん、隠れていたみんなが一斉に飛び出してバースデーソングの大合唱。当の本人は、驚きと同時に、感激もひとしお。さすが、人をびっくりさせるのが大好きなアメリカ人らしい発想ですね。また、バースデーケーキのろうそくを一気に吹き消すと願いごとがかなうというジンクスは有名です。そのろうそくも、日本では年齢の数だけ立てることになっていますが、アメリカでは実際の年齢数に一本プラスするそうです。それは、ろうそくの数を増やすことで、より多くの幸福が訪れると信じられているからです。

一方、ヨーロッパでは前号の「結婚式のお菓子」でご紹介したドラジェが誕生日にも活躍。バースデーの晩餐のテープルにセットされたお皿の上に、一粒のドラジェを載せておく習慣があるのだそうです。そうすることで、これがお祝いの席であるということを表現しているのだとか。ドラジェは結婚に、出産に、誕生日にと、実に登場場面も多く、人々に愛されているお菓子なのです。

  • 参考文献
  • お菓子の手作り事典/講談社
  • ベビーシャワー/文化出版局

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